第528章 望月家は本当に厚かましいな

千謙は、入り口に佇む母の姿を視界に捉え、傍らへと歩み寄った。

「部屋に戻ってから話そう」

だが、篠崎夫人は頑として動こうとしない。

「誤魔化さないでちょうだい。私だっていい歳をした大人よ。子供扱いして隠し事をするのはやめて」

楓が口を挟む。

「叔母さん、考えすぎだよ。そういうわけじゃない」

篠崎夫人は首を横に振り、真っ直ぐに千謙を見据えた。

「いいえ、千謙の口から聞きたいの」

意を決したように、千謙が口を開く。

「ドナーの方に少し問題が起きて……今のところ、移植手術の手配ができなくなった」

その言葉を聞くと、篠崎夫人はふっと息を吐いた。

「あら、もっと悪い話かと思っていたわ。手術が無...

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