第530章 各々が思惑を抱え、昔には戻れない

東弥の言葉を耳にした檸檬は、線香を供え終えてから、ようやくその場を下がった。

ほかの者たちも順に焼香を済ませる。

一通りの儀式が終わり、全員がソファーの方へと戻ってきた。

東弥は眉をひそめ、不満げに口を開く。

「おい、檸檬。まだ俺の質問に答えてないぞ。父さんと母さんの前だ、嘘はつくなよ」

続いて、西都が静かに尋ねる。

「あの時、一体何があったのか……教えてくれないか?」

檸檬は東弥を一瞥し、淡々と言い放った。

「あの時のことは、もう知っているはずです。私の記憶と事実に違いはありません。私を救い、さらに両親をも助けようと戻ってくれたのは――湘子の父親ではありません。千謙です」

その言...

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