第579章 檸檬も結構毒舌

檸檬は冷ややかな視線を詩織に向け、淡々と言った。

「その件でしたら、とっくの昔に存じています」

「高坂さんは腐っても高坂家が手塩にかけて育てた人間でしょう? それなのに実家と張り合うだなんて、あまり感心しませんわね」

詩織の胸中は、どす黒い感情で渦巻いていた。

どうして檸檬は、自分が喉から手が出るほど欲しかったものを、こうも容易く手に入れてしまうのか。

現在の檸檬の生活は、かつて詩織が夢見ていた理想そのものだ。それは、千謙という一人の男性を含めて。

なのに、その全てを檸檬は手中に収めている。

どうして、あの子だけが。

檸檬は、嘲るような笑みを浮かべて詩織を見据えた。

「望月さん、...

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