第584章 一番辛いのはあなたのはず

程なくして、篠崎家が手配した車が到着した。

檸檬は千謙と共に後部座席に乗り込むと、隣に座る千謙の横顔を見つめて口を開いた。

「人を助ける時、怖くなかったの?」

彼はふと顔を背けた。

「少しも怖くなかったと言えば嘘になる。だが、目の前の光景はあの時とあまりに似ていた。このまま立ち去るわけにはいかなかったんだ。かつて君の両親を救えなかった俺だが、今回こそは中の人を助け出したかった」

千謙の言葉に嘘偽りはなかった。

檸檬の瞳が赤く潤む。

「でも車に乗っていたのが……まさか英子だったなんて」

「ああ。その点については、俺も意外だった」

檸檬は彼を真っ直ぐに見つめた。

「先に連絡を入れておく...

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