第609章 江山は改め易く本性は移り難し

千謙は西都を一瞥すると、悔しげに奥歯を噛み締め、伸ばしかけた手を引っ込めた。

それを見た西都は、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。彼は檸檬に歩み寄り、その身体を支え起こした。

「ほら、帰って休むぞ」

檸檬は立ち上がると同時に、その手を振り払った。彼女は真っ直ぐに西都を見据える。

「疲れていません。ここで待ちます。あの子が目を覚ますまで」

西都は諭すように言った。

「あの子は助かる。だが、おまえがここに居座っても意味がない。倒れるだけだ。……また、聞き分けのないことを言うのか?」

その言葉に、檸檬は唇を真一文字に引き結んだ。

「……わかりました。でも、学校に戻ります」

「家に帰る...

ログインして続きを読む