第628章 詐欺師に金を全部吐き出させる

病室に戻った英子は、瞬く間に顔色を土気色に変えた。

浴室に入り、扉を閉めるなり、手当たり次第に中の物を叩きつけた。

「……忌々しい」

鏡に映る狂気に満ちた女を見つめる。英子自身でさえ、その姿がどこか他人のようにも思え、一瞬の戸惑いを覚えた。これほどまでに取り乱したのは、何年ぶりだろうか。

冷水を浴びて頭を冷やし、浴室を出る。外にはすでに秘書が控えていた。

英子は冷ややかな表情で問いかける。

「状況は?」

「オーナー、何者かが我が社を標的にしている疑いがあります。世論の炎上が早すぎます。中村家には根回し済みでしたが、中村夫人の話では、誰かが裏で動いていると」

「誰の仕業?」

「...

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