第641章 好きな人は千謙だけ

その言葉を耳にした瞬間、千謙の表情が凍りついた。

不穏な空気が漂い始めたのを察し、檸檬は二人の男の会話を遮った。

「もういいでしょう。おば様がお待ちです」

西都は鼻を鳴らすと、取り巻きを連れて病室へと消えていった。

檸檬は振り返り、千謙の手をそっと握りしめる。

「高坂家の人間になんか、認められる必要はないわ」

その言葉に、千謙の強張った表情がわずかに和らいだ。

傍らで様子を見ていた誠が、憤りを隠せずに吐き捨てる。

「何なんだよあいつ、ふざけやがって。義姉さんに対するあの態度、よく家族なんて名乗れるな。恥を知れっての」

先ほどの西都の暴言に、誠はもう少しで殴りかかるところだった。母親...

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