第647章 お前が気持ち悪いだけ

騒ぎを聞きつけた檸檬が振り返ると、そこには赤いビキニを纏った女の姿があった。

サングラスに、緩く巻かれた長い髪。白磁のような肌に、すらりと伸びた長い脚。

サングラスで顔は隠れているが、檸檬には一目でわかった。

全身から妖艶なオーラを放つその女が誰であるかなど、見間違えるはずもない。

詩織が、まさかこんな所に?

千謙はすぐに檸檬の手を取り、冷たく言い放つ。

「行くぞ。どうでもいい人間に目を向けるな」

檸檬には、詩織の纏う攻撃的な気配がただならぬものに感じられた。どう見ても、優雅にバカンスを楽しみに来たわけではなさそうだ。

せっかくの休暇中に、不愉快な思いなどしたくない。

彼女はきびす...

ログインして続きを読む