第658章 つまり真実は一つだけ

詩織が身に纏うそのドレスを目にした瞬間、檸檬は思わず失笑してしまった。

やはり、人は呆れ果てると逆に笑ってしまうものらしい。

先刻、詩乃と共に入場した際、周囲の視線がどこか奇妙だったのはこのせいか。誰もが野次馬根性丸出しの、好奇に満ちた色を浮かべていたわけだ。

檸檬は視線を戻し、隣の詩乃へと目を向けた。

彼女は声を潜めて尋ねる。

「このドレス、限定品で入手困難だって言ってなかった? まさか被るなんてね。それも、あの子と」

詩乃は舌打ちをして答えた。

「私の情報に間違いはないわよ。もし被ったとしたら、どちらかが偽物ってこと。あんたの家の『大社長』が、あんたに偽物を贈ると思う?」

檸檬...

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