第664章 私を倒せないものは、私を強くするだけ

事故の瞬間、檸檬は世界がスローモーションになったように感じた。

それから視界が暗転し、記憶が途切れた。

次に目が覚めた時、目に映ったのは白い壁と、鼻をつく消毒液の臭いだった。

「目が覚めたか?」

聞き覚えのある声に、檸檬は顔を向け、そこに西都の姿を認める。

「……彼は、どうなったんですか」

口をついて出た自分の声は、まるで壊れたふいごのように掠れていた。

直後、喉の奥がむず痒くなり、檸檬は激しく咳き込み始めた。

西都がすぐに近寄り、吸入器を使ってくれたおかげで、発作は嘘のように治まった。

西都は呆れたように嘆息する。

「自分の体がボロボロなのに、他人の心配か?」

檸檬がじっ...

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