第676章 今こそ演技で勝負する時

その言葉を聞いた瞬間、檸檬の心臓が早鐘を打った。

だが、今はまだ動揺を表に出すわけにはいかない。

とにかく詩乃に会いさえすれば、あとはなんとかなる。葉山英子の手下を撒く算段はあるし、陽太も見張ってくれている。臨機応変に動くしかない。

詩乃の無事さえ確認できれば——。

檸檬は怒りを露わにして叫んだ。

「だったら、さっさと彼女を連れてきなさいよ。二階に隠れさせてないでさ。今日こそはっきりさせてもらうわ。私とあなたのどっちを選ぶのかってね。あの子が選ぶのは、あなたみたいな浮気相手から成り上がった女か、私みたいな親友か。どっちかしらね!」

英子にとって「浮気相手」という言葉は、人生で最も忌...

ログインして続きを読む