第683章 殴るのに理由が要るか

すぐに警備員が駆けつけてくる。

詩織は檸檬と詩乃を見据え、言い放った。

「お二人とも、退場願いますわ。ここで騒ぎを起こされては迷惑ですもの」

その瞬間、中村夫人が躍り出て、いきなり詩織の髪を鷲掴みにした。

「あんたもとんだクズね! 愛人の分際でのし上がった女とつるんで……ろくなもんじゃないわ!」

まさか中村夫人が手を出してくるとは思わなかったようで、詩織は目を丸くする。

もっとも、中村夫人は普段から気性が荒く、この手の修羅場には慣れている。

檸檬でさえ、夫人の戦闘力がこれほど高いとは予想外だった。

詩乃が一歩前に出ると、中村家の親戚たちを煽るように声を上げた。

「何見てるのよ! 中村家...

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