第689章 永遠に幸運でいられると思うか

正直なところ、詩織がここで立ち往生している姿を見ても、檸檬はこれっぽっちも意外だとは思わなかった。

かつての彼女がいかに傲慢で、いかに我が世の春を謳歌していたか――今の無様な姿は、その裏返しでしかない。

一般人は確かに弱者かもしれない。だが、血の滲むような思いで稼いだ金を騙し取られれば、誰だって理性を失う。失うものが何もなくなった人間ほど、狂気に走りやすいものだ。

ふと顔を上げた詩織が檸檬の姿を認めるなり、金切り声を上げた。

「全部、この女のせいよ!」

その一言で、周囲の視線が一斉に檸檬へと突き刺さる。

だが、暴徒と化した人々を前にしても、檸檬の表情は冷ややかなままだった。

「私...

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