第704章 お前の彼女の命に興味はない

篠崎千謙が景勝地のゲートに到着したとき、ちょうど八時を告げるように誘拐犯から電話がかかってきた。

篠崎千謙はその場に立ち止まり、通話ボタンを押した。

「金は持ってきた。どこにいる? 彼女はどこだ」

「焦るなよ。手元の金をそこのスロープカーに乗せろ。尾行はつけるな。こっちはずっと見てるんだ。妙な真似をすれば、女の命はないと思え」

視線の先にはスロープカーがあった。竹林を抜けて山上へと続く地上ケーブルカーだ。

昼間なら絶景だろうが、この時間帯は当然営業していない。

つまり、犯人は事前にこの手段を用意していたということだ。

篠崎千謙はスマホを握りしめた。

「彼女と話をさせろ」

「あいつは安...

ログインして続きを読む