第729章 今後、君に自由を与えられる

高坂西都は彼女の言葉に何も答えず、背を向けて甲板を立ち去った。

高坂南斗は、さっきまで意気揚々と海で拾った巻貝を手にしていたが、今はもうそんな気分など微塵も残っていなかった。

彼は苦笑いを浮かべて言った。

「せっかく楽しく遊びに来たってのに、お前はどうしてそうやって水を差すんだ?」

「私が、水を差した?」

高坂檸檬は高坂南斗を見据え、その足元に巻貝を叩きつけた。

「珍妙なガラクタで私の機嫌が取れるとでも? それであんたたちが私にした仕打ちが帳消しになるとでも思ったんですか? 寝言は寝て言ってください」

「昔のことは……」

「いいえ。昔のことは百歩譲りましょう。じゃあ、今は?」

...

ログインして続きを読む