第744章 今、芝居を始められる

高坂檸檬は小さく頷いた。篠崎千謙の言うことにも一理ある。

高坂檸檬は口を開く。

「症状は適当にでっち上げるわ。ここの担当者も私に薬を使ったから、そのせいで病状が変わったことにすればいい。どうせ前の島の担当者だって、ろくな人間じゃなかったし」

篠崎千謙は高坂檸檬を抱き寄せた。

「俺たちがついている。たとえ最後にお前が、俺たちのことを忘れてしまったとしても……昨日撮ったあの映像が、事の真実をすべて記録している。それを見れば、お前はすべてを思い出せるはずだ」

高坂檸檬は目元を赤くした。これが最後の手段だと分かっていても、やはり胸が締め付けられるほど辛い。

これらすべては、高坂家の人間が招いた...

ログインして続きを読む