第749章 高坂西都は今やただの狂人

高坂東弥は篠崎千謙の姿を認めた瞬間、我が目を疑った。

まさか見間違いではないか。あるいは自分はまだ、悪夢の只中にいるのではないか、と。

雲雀市において、篠崎家と言えば天にも等しい絶対権力者だ。高坂東弥はずっと、篠崎千謙が高坂家に牙を剥くのではないかと恐れ戦いていたのだから。

だが、その篠崎千謙が平然とここに立っている。高坂東弥は恐る恐る口を開いた。

「お前、ここにいて……高坂西都は知っているのか?」

あの三男が、みすみす篠崎千謙の侵入を許すはずがない。

篠崎千謙は淡々と答えた。

「あいつが俺を寄越したんだ」

「あいつが……?」

高坂東弥の表情が、見る見るうちに焦燥に染まってい...

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