第772章 俺がいれば、大手を振って歩ける

篠崎千謙は、小さな少女を乗せて馬を走らせていた。彼女が声を上げて笑い出すのを聞いて、ようやく彼は手綱を引いた。

機嫌を直したその愛らしい姿を見下ろし、彼の口元も自然と綻ぶ。

篠崎千謙は少女を覗き込んだ。

「楽しかったか?」

少女は大きく頷く。

「うん、楽しい!」

「……どうして父親を探そうなんて思ったんだ? 両親は別れてるんだろう。もしろくな父親じゃないなら、わざわざ探す必要なんてない」

少女は小さな顔をしかめ、怒ったように言った。

「ぶん殴るの!」

「殴る?」

「そう。ママの敵討ち!」

篠崎千謙は吹き出した。てっきり『母を訪ねて三千里』ならぬ父探しだと思っていたが、まさ...

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