第799章 チビはもう行くのか?

篠崎誠が口を開いたその瞬間、篠崎夫人の拳が飛んできた。

「余計な入れ知恵はしないの。あの件は長男に任せておけばいいわ。どうせあの子も暇を持て余しているんだから」

やっぱりこうなるか。

誠は肩をすくめ、視線を空っぽになったチャイルドシートへと向けた。ふいに、胸の奥に空虚感が広がる。

あんなに疑っていたちびっ子だったが、いざ去ってしまうとなると、名残惜しさが込み上げてくるから不思議だ。

――

篠崎千謙は、ちびっ子を連れて学校へ向かっていた。

星月は膝の上のランドセルを大事そうに見つめている。その横顔はどこか寂しげだ。

千謙は横目でその様子を一瞥した。

「そんなに未練がましいなら、ランドセ...

ログインして続きを読む