第816章 お前の名前は全然いい響きじゃない

篠崎千謙は目の前の女を凝視し、しばし呆気にとられていた。

やがて、彼は改めて問いかける。

「……名前は」

「ティナ」

「そっちじゃない」

「本名のこと? ……高坂檸檬ですが」

篠崎千謙は口元を引き結ぶ。

「酷い名前だ。改名を勧める」

「変えろと言われて、はいそうですかと変えるわけないでしょう。どうして貴方の指図を受けなきゃならないんですか。それに、貴方が嫌がるなら、尚更変える気はありませんね」

高坂檸檬はまた一口、グラスを煽った。

「ここには酒がないのかと思いましたよ。散々探して、まさかこんな場所に隠匿されていたとは。……でも、どうして私が飲みたいとわかったんです?」

篠崎千謙...

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