第824章 この女はわざと意地悪をする

篠崎千謙は目の前に立つ秘書を見やり、信じられないといった体で口を開いた。

「会社に迎えを寄越せだと? いい度胸だな」

「篠崎様、実は会社としてはデザイナー高坂をお迎えに上がる予定だったのです。ですが、ご本人が辞退されまして。宿は自分で確保したから迎えは不要だと」

千謙はギリリと奥歯を噛み締めた。

「車を出せ」

あの女、本当に面倒くさい。

千謙は秘書に視線を戻す。

「他に仕事は?」

「はい、国際会議がございます」

「なら、会議だ」

千謙は手元の資料を書類の山の一番下に押し込んだ。今はあの女の顔など見たくもない。

会議を終えて出てきた千謙は、あくまで何気ない風を装って秘書に尋...

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