第827章 君の言い訳は稚拙だ

院長は、黙り込む篠崎千謙の姿を前に、かける言葉を見失っていた。

かつて、篠崎千謙と高坂檸檬がどのように惹かれ合い、歩み寄っていったのか。それを傍らで見守ってきたのも彼だったからだ。

あれほどの出来事を乗り越えながら、結局二人は離れ離れになってしまった。運命とは皮肉なものだ。

その時、看護師が病室から顔を出した。

「患者様がお目覚めです」

千謙が病室へ足を踏み入れると、目を覚ました檸檬が食事を摂っているところだった。

檸檬は現れた男を見て、一瞬呆気にとられたような顔をする。

「まだいらしたんですか?」

「……病院まで運んだのは俺だ」

「それでお礼待ち、ということですか?」

男は眉...

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