第836章 この高坂様は特別

篠崎千謙は壁一面に飾られた写真の前に立ち、ただ無言で立ち尽くしていた。

かつての栄光を物語るそれらの光景を眺めていると、得体の知れない感慨が胸に去来する。

加藤タカシが歩み寄ってきた。

「懐かしいだろ。このチームも、俺たち二人で一から作り上げたんだ。あの頃、お前の実家は大反対して、勘当同然で仕送りも止めてきやがった。本当に貧乏だったよなぁ。まさか今日までやってこられるとは、俺も思ってなかったよ」

篠崎千謙はふいと顔を背ける。

「記憶にないな」

「そうだった、忘れてたよ。お前、記憶喪失だったな。まったく、ドラマじゃあるまいし……」

加藤タカシは言いかけて、背筋に冷たい視線を感じて慌てて...

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