第842章 ふっ、これは鴻門の会だな

仕事を終えた高坂檸檬は、一度スマートフォンに目を落とした。結城震天からのメッセージが届いている。

場所は会員制のクラブだ。

やっぱりな、と檸檬は思う。老いぼれの獣は、どこまでいっても獣でしかない。

これまで長く飼い殺しにしてきたが、相手はもう待ちきれない状態なのだろう。

結城震天にしてみれば、顧氏グループでのポストを与えたのだから、その見返りを身体で払えということだ。

高坂檸檬はエレベーターに乗り込み、ルージュを取り出して化粧を直し始めた。

そこへ革靴の音が近づき、篠崎千謙が乗り込んでくる。彼は檸檬のその仕草を一瞥すると、細い目をさらに細めた。

「随分と飢えているようだな」

檸檬はル...

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