第891章 二人の初デート(最終章・前編)

高坂檸檬は篠崎千謙の懐に身を預け、滲む涙を指先で拭った。

ついに、すべてが報われたのだ。

彼女は顔を上げ、篠崎千謙を見つめた。

「これから少し片付けたいことがあるのだけれど、時間は平気かしら?」

「いつでも空いている。今の仕事はあらかた篠崎誠が処理しているからな。お前と子供たちに付き合う時間は腐るほどある」

その深淵のような瞳に見つめられ、高坂檸檬の鼓動が早鐘を打つ。

「分かったわ」

「何をするつもりだ? 高坂の連中は昨日、実家へ戻ったぞ」

「あら、ずいぶんと逃げ足が速いのね。それで、高坂西都は死んだの?」

高坂檸檬は昨日、子供たちに付きっ切りだったため、高坂家の人間には意識...

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