第5章

 私はB市へ引っ越した。

 東都高等学術研究所で、私は正式に洋子の極秘研究チームの中核メンバーとなり、ミレニアム懸賞問題の一つ――ナヴィエ=ストークス方程式の解の存在と滑らかさ問題――に取り組み始めた。

 アスペルガーの特性のせいで、混み合って複雑な社交の場はいまでも苦手だった。自分がどこに身を置けばいいのか、いつもよくわからない。けれど蓮は、私のぎこちないところも奇妙な癖も、そのすべてを、信じられないほどの忍耐で受け止めてくれた。

 毎朝、彼はきっちり時間どおりに研究棟の外に現れ、「天才少女の過去」を嗅ぎ回ろうとする記者やカメラの群れから私をかばってくれた。

 ある夜、特に過酷な計...

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