第7章 合気道と温泉家族

この前の件で鹿島大輔も少しは懲りるだろうと思っていたが、結果は真逆だった……。

その日、私は温泉旅館の裏庭で、業者から届いたばかりの食材を一心に整理していた。今日の野菜は特に新鮮で、中でも山のきのこは温泉で蒸すだけで人を陶酔させるような香りを放つ。私は慎重にそれらを選り分けていた。

不意に、空気を切り裂くような刺々しい笑い声が私の思考を中断させた。

「誰かと思えば、温泉旅館のお嬢様が力仕事とはな!」

顔を上げると、鹿島大輔がこの前より多くの取り巻きを引き連れて裏庭の入口に立っていた。口元には皮肉な笑みを浮かべ、その眼差しは軽蔑と怨嗟に満ちている。

私は静かに立ち上がり、...

ログインして続きを読む