第8章 異なる選択、異なる人生

料理コンテストから一週間が経ち、学園の雰囲気もようやく落ち着きを取り戻した。さらに嬉しいことに、鹿島の一件以来、クラスメイトたちの私に対する態度が明らかに変わったのだ。

私が通り過ぎる時にひそひそ話をされることも、わざと避けられることもなくなった。それどころか、今まで一度も話したことのなかった女子生徒が何人か、向こうから挨拶してくれるようになった。この変化は、新鮮であると同時に温かいものだった。

「鈴子、次の料理コンテスト、テーマは何にしようか?」松本美雪がレシピ本をめくりながら私に尋ねた。「この前の温泉蒸し料理シリーズ、大成功だったよね。審査員の方々も絶賛してたし」

私が答え...

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