第9章 最高の結末

私は料理の特技を認められ、東京の料理学院に推薦入学を果たした。

それからというもの、高校へはほとんど顔を出さなくなった。

クラスメイトの話によると、佐藤桜はほどなくして転校し、海外のどこかの名門校へ行ったらしい。

佐藤桜が最終的にどこへ行ったのか、誰も知らなかった。

佐藤桜が私の生活から完全に姿を消すと同時に、温泉の上に漂っていたネットのコメントも消え去った。

きっと、編集者たちに急遽引っ張り出された作者が新たな物語の主軸を切り開き、私はもうすっかりあの小説の世界からフェードアウトしたのだろう。

これからは、私はただの山田鈴子。

誰かの筆による、意地悪な悪役令嬢...

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