第197章

鈴木直哉が今日ホテルに来たのは、海外のパートナーと会うためだった。

本来なら一昨日会う予定だったが、相手が急病で倒れ、二日ほど休んでようやく少し回復した。そのため面会が今日にずれ込んだのだ。

重要な案件――のはずなのに、鈴木直哉の意識は明らかにそこになかった。頭の中を埋め尽くしているのは水原念のこと、そして彼女が口にした、あの一言だけ。

「鈴木社長?」

いつまでも黙ったままの鈴木に、ジェックが話を切り上げて声をかける。

鈴木は我に返った。「……何だ?」

その様子を見て、ジェックが笑う。「どうした? こっちに来て少しの間に、もう女のことか? 鈴木社長、奥さんと仲がいいんだな」

「...

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