第199章

玉海ホテルを出た鈴木直哉は、そのまま車を結婚式の別荘へ走らせた。別荘は真っ暗で、そこでようやく思い出す。

――ここは、もう自分の家じゃない。

来るべきじゃなかった。今の自分にとっていちばん大事なのは、夏目清子のそばにいることだ。

外科病棟。

夏目清子は青白い顔でベッドに横たわり、ぽろぽろと涙を落としていた。扉が急に開いても、たいして気に留めず、反射的にちらりと目をやる。

その瞬間、固まった。

「直哉……?」

彼女はぱっと表情を輝かせ、こちらへ歩み寄る男を見つめた。

「夜は用事があるから、来られないって言ってたのに……?」

さっきまで、直哉の冷たくなった態度に思い悩んでいた。...

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