第205章

そうは言いながらも、水原直恭が水原念を見る目には、痛いほどの哀れみが滲んでいた。

鈴木直哉のために、念はどれほどのものを差し出してきたのか。家族と完全に決裂してまで、夫婦になろうとした。その結末が――

ただの虚しさだけだなんて。

たとえ今、水原念が心から離婚を望んでいるとしても、過去に刻まれた傷はもう消えない。離婚届一枚で帳消しになるようなものではない。

念は口元をわずかに歪めて、ふっと笑った。

鈴木直哉が後悔するはずがない。むしろ、離婚できる日を待ちわびているだろう。

けれど――救いようのない結婚から解放されるのは、彼女にとっても悪い話ではない。

しばらく沈黙が落ちたあと、水...

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