第220章

 靴は座席の下へ放り投げられ、スカートも、スーツのジャケットも、シャツも、それにベルトまで、座席の上から床へ落ちていた。

 車内の艶っぽさは、限界まで引き上げられている。

 そのとき、鈴木直哉のスマホが鳴った。

 最初は、鈴木直哉も水原念も取り合わなかった。

 熱と欲に溺れたまま、まだ戻ってこられない。

 けれど、しつこい着信音がしばらく続き、鈴木直哉はようやく顔を上げた。

 スマホを手に取り、画面を一瞥する。そこに出ていた名前を見た途端、瞳の奥の情欲がすっと引き、代わりに冴えた光が戻った。

 水原念も酒はそれほど飲んでいない。ひとしきり騒いだあと、さっきまでの半端な運動もあっ...

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