第222章

 海外?

 水原念は眉をわずかにひそめた。佐藤賢一って、そんなに厄介な男なの? あちこちで恨みを買って、海外にまで敵がいるなんて。

 けれど深く考える間もなく、脳神経外科の外来の時間が来た。仕事が始まる。

 水原念の業務自体は難しくない。上原円のそばでカルテを整え、検査のオーダーを入れる。患者が理解できず、上原円が説明に時間を割けないところを、彼女が噛み砕いて補う。

 水原念にとって一番骨が折れるのは、その「説明」だった。

 数言で納得する人もいれば、何をどう言っても伝わらない人もいる。本人は分かっているのに、家族がどうしても医者の言うことを信じないケースだってある。

 本来は手...

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