第224章

水原念は深く息を吸い込んだ。

「上原主任……わかりました」

前からわかっていた。けれど今は、身に染みるほどよくわかっただけだ。

一日はあっという間に過ぎた。

午後の仕事自体は忙しいわけでもない。だが午前中の一件が尾を引き、水原念は一日じゅう気分が晴れなかった。

バッグを提げてタイムカードを切り、1階ロビーへ降りたところで、人だかりができているのに気づく。何かを取り囲んで、ざわざわと騒いでいた。

「金がねえって言ったのはてめえだろ! 金がねえくせに、食えもしねえ飲めもしねえもん買いやがって。こんな浪費女、ぶっ殺してやる!」

その声――。

水原念は足を止めた。あの女の夫の声だ。

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