第225章

「彼女は人間だ。手も足もある。自分で稼げるし、自分の食い扶持くらい自分でどうにかできる。だったら生きていける。あんたに寄りかかる必要なんて、どこにもない」

 水原念は、もう堪えきれなかった。真正面から言い返す。

「私が連れていきます」水原念は女を見つめ、言葉に力を込めた。「仕事も探します。生活が落ち着いたら、娘さんも呼べばいい。働きながら治療だってできます。生きられます」

「俺の目の前で、うちの女をさらう気か!」

 男が逆上し、果物ナイフを抜いて水原念に突進した。

「きゃあ――!」

 周囲から悲鳴が上がり、本能的に人だかりがさっと後ずさる。だが刃先が向いているのが水原念だけだとわ...

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