第229章

そう言い終えると、夏目清子が何か口を開くより早く、彼は立ち上がってそのまま出ていった。

背中が遠ざかっていくのを見送りながら、夏目清子は指先でシーツをぐっと掴む。

水原念。

どうせ、また水原念のところへ行ったんだろう?

あの噛み痕だって、水原念がつけたに違いない。

――今も、あいつのところへ?

せっかく病院で待って、ようやく見舞いに来たと思ったのに。ここに座っていたのは、ほんの少し。すぐに立って出ていった。

どうして、私にこんなに冷たいの?

私はまだ入院してる。退院もしてないのに。

本当なら、もっと私のそばにいて、母のことも気にかけるべきじゃないの?

夏目清子は苛立ちに任...

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