第230章

太い腕が車内から伸び、彼女の腕をつかんだ。ぐいっと力任せに引かれ、そのまま車へと引きずり込まれる。

「バタン!」という音とともにドアが閉まり、車は猛スピードで走り出した。

「あなたたち……んぐっ」

言い終える前に、汚れた布きれが口へねじ込まれた。

もがき続けていた手足も、車内の別の連中に手際よく縛り上げられる。

水原念の心は、底へ落ちていった。

――誘拐だ。

でも、こいつらはいったい何者だ?

誰の差し金?

なぜ私を?

最近、誰かの恨みを買っただろうか。

佐藤グループの佐藤賢一?

それとも……鈴木直哉?

それ以外に、水原念は思い当たらなかった。

「んぐ……んぐ……!...

ログインして続きを読む