第240章

落下ていく体が、誰かに急に停止ボタンを押されたみたいに止まった。その瞬間になって、ようやく水原念の頭が回り始める。

女も、自分が掴まれていると気づいた。顔を上げ、水原念を見上げる。

「水原先生……ありがとうございます。でも、あなたが命を賭けてまで助ける価値、私にはありません。手を放してください。私、本当は死ぬべきなんです」

この病気がなくてもいい。これまで何度も何度も、水原念や病院を裏切ってきた自分の所業を思えば、死んで当然だと女は思っていた。

水原念は奥歯をぎゅっと噛みしめた。

手は二本しかない。片方で下の女を引っ張り、もう片方は上から伸びてきた誰かに掴まれている。自分と女、二人...

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