第245章

病院。

水原念が脳神経外科の更衣室に足を踏み入れた瞬間、すでに白衣を着込んだ夏目清子が、まっすぐこちらを見据えているのが目に入った。

水原念は眉をわずかに持ち上げる。

退院が早い。あの日、脅かす手加減をしすぎたらしい。あと二日はベッドに縛りつけておけると思っていたのに。

水原念はハンガーに掛かった白衣を手に取り、さらりと羽織る。なおも視線を外さない夏目清子に、口角をつり上げた。

「どうしたの。幽霊でも見た?」

「幽霊」という単語に、夏目清子の肩がびくりと震えた。

けれど、それも一瞬だけ。すぐに表情を整え、強がるように言い返す。

「あの夜……あんたが、ふざけて脅かしてたの?」

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