第248章

「念ちゃん、悪い。さっき道の途中で電話が入ってさ、ちょっと手間取った。待たせたな」

 田中修一が水原念のそばまで歩み寄り、片手を伸ばして、腰をふわりと抱く。

 今日の水原念は、白いリボンタイ付きのブラウスに、淡い色のパンツ。艶のある黒髪はサメクリップでまとめ上げていた。

 上品で、目を奪われる装い。

 そこへ田中修一が並び、腕を彼女の腰の後ろへ回しただけで――彼女の美しさがいっそう際立つ。

 鈴木直哉は思わず拳を握り、足が半歩、前へ出た。まるで田中修一の腕の中から水原念を引きはがそうとするみたいに。

 その動きを夏目清子が見逃すはずもなく、先に直哉の腕へ自分の腕を絡めた。今さら田...

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