第249章

あるいは――夏目清子が気づかなかっただけで、鈴木直哉はとっくに気づいていたのかもしれない。

「この刺身、なかなかいけるぞ。食べてみろ」

個室で。

田中修一が刺身の皿を水原念の前へすっと差し出した。

「ありがとうございます」

礼を言うと、修一は軽く笑って、田中大山の病状の話を切り出す。

「親父が言ってた。昼に見舞いに行ってくれたんだってな。大した問題はない、これから念が調整してくれれば長生きできるって」

「ええ」水原念はうなずき、念を押すように続けた。「ただ、普段の生活は本当に気をつけてください。ちゃんと休んで、薬も時間どおりに。夜更かしはだめですし、仕事も無理しないように」

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