第251章

「直哉……本当に、あなたなの? あなたたち……」

 彼女は震える指で二人を指さし、涙がみるみる瞳に滲んだ。

 その姿を認めるなり、鈴木直哉は反射的に横へ二歩退き、水原念との距離を空けた。

 ――五年前のことを、直哉に話すべきか。

 さっきまで迷っていた念は、その露骨な態度を見て、胸の奥がすっと冷えた。言う気が失せる。

 話したところで、何になる。

 直哉はもう夏目清子に惹かれている。しかも、ずぶずぶに絡み合っている。

 真実を告げたところで、念が望むような「完璧な愛」なんて手に入らない。それどころか、ただでさえ厄介な状況が、もっと厄介になるだけだ。

 家の人間は皆、彼女が直哉...

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