第253章

茶室。

個室の扉が閉まると、水原念は椅子に腰を下ろし、向かいに座る神代夢子と奥村光を見た。口元には、きちんと整えた微笑み。

「お婆さん、お母さん。どうしたの?」

勤務時間にわざわざ病院まで来るなんて、よほどのことだ。

神代夢子は、念のあからさまな距離の取り方に胸が締めつけられた。自分から立ち上がり、念のそばまで歩いていくと、隣の椅子に座る。

そして、ぎゅっと念の手を握りしめ、諭すように言った。

「念ちゃん、正直に答えて。……本当に田中修一さんを好きになったの? 直哉と離婚して、田中修一さんと一緒になるつもりなの?」

念は、夢子が来た理由が鈴木直哉の件だろうとは思っていた。けれど...

ログインして続きを読む