第255章

水原念は不満げに彼をにらみつけた。

「まだ何を待ってるの? さっさと『はい』って言いなさいよ」

水原念が鈴木直哉を見つめるのと同じように、神代夢子もまた彼を見ていた。

その表情に、神代夢子の胸へ小さな希望が灯る。

「直哉……念ちゃんと離婚したくないんじゃないの? あなた……」

「違う」

鈴木直哉は即座に顔を背けた。

「祖母さん、俺も離婚に同意する」

「じゃあ、さっきどうして言わなかったの。どう見ても、念ちゃんにまだ気持ちがあるでしょう。手放したくないんじゃ……」

鈴木直哉は言葉を遮り、さっきの態度に都合のいい理由を貼り付けた。

「手放したくないんじゃない。ただ……普段から...

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