第257章

離婚届を受理してもらいに行く、その前日。

夕食を終えると、水原念は自分の部屋へ戻り、身分証明書を探しに机の引き出しへ手を伸ばした。

――ない。

指先が紙の感触をつかめない。念は目を見開き、空っぽの引き出しを見て息をのむ。だがすぐに気を落ち着け、引き出しの奥まで丁寧にかき分けた。

一度目、なし。

二度目、やっぱりなし。

念は眉を寄せて考える。前に身分証明書を使ったあと、回収し忘れたのだろうか。

違う。あのとき自分で持ち帰ったのは、はっきり覚えている。

紛失を避けるために、しまう前にもう一度確認までした。問題がないのを確かめてから、ここへ入れたのだ。

それなのに――。

念は辛...

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