第263章

 中村誠美の悲鳴が、痛みによる呻き声へと変わったかと思うと――ぷつりと途切れた。

 皆が息をのんで視線を向ける。奥村元が取り乱したまま刃物を振り回し、その一閃が中村誠美の腕をかすめていた。傷口から、鮮やかな赤がだらだらと流れ落ちる。

「きゃっ、殺人よ!」

「大変! 人が刺された!」

 気の弱い者たちは蜘蛛の子を散らすように病室へ逃げ込み、バタンと扉を閉めた。

 胆の据わった者は数歩下がり、野次馬のまま成り行きを見守る。

 奥村元は不機嫌そうに中村誠美を睨みつけた。

「てめぇ、しゃしゃり出てくんな。死にたいなら勝手に死ね。俺に殺人の罪を背負わせる気か」

「奥村元、やめて」中村誠...

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