第273章

まるで氷山を丸ごと背負ってきたみたいな鈴木直哉が、外から病室へ入ってきた。

その視線が、冷たく田中修一に落ちる。

視線に質量があるのなら――水原念はそう思う。たった一瞥で、田中修一は氷漬けにされてしまうだろう。

鈴木直哉はベッドの前まで来ると、手にした弁当箱を持ち上げた。

床頭台の上には、田中修一が持ってきた弁当箱がある。それを自分の弁当箱でぐい、と端へ押しやり、落ちそうになったところでぴたりと止めてから、自分の弁当箱を置いた。

そして、水原念へ冷笑を向ける。

「母さんと祖母さんがさ、絶対早めに行って飯を届けろってうるさかった。お前が腹減らせないようにって。けど今見る限り、鈴木家...

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