第274章

その言葉に、鈴木直哉の顔色が一瞬で変わった。

鈴木直哉が身を乗り出してくる。

水原念は反射的に身を引いた。

――いま自分がベッドに座っていることを、忘れていた。後ろへ逃げた瞬間、そのまま背中から倒れ込む。

同時に、鈴木直哉の体も覆いかぶさってきた。彼は両手を水原念の肩の脇につき、上から見下ろすように顔を近づける。

「どうした? 田中修一とキスしたのか。寝たのか?」

水原念は顎をわずかに上げた。

「ええ。キスもしたし、寝たわ」

「でもこの前、酔ってたときに俺に言っただろ。おまえ、まだ――」

水原念は堪えきれずに笑い出した。くすくす、ころころ。ベッドの上で身をよじるほどに。

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