第281章

髙田風は内心むっとしながらも、手加減していた。

けれど夏目清子のほうは、むしろ痛みが増したみたいで、鈴木直哉の袖をぎゅっと掴み、たまらず頭まで彼の身体に寄せる。

鈴木直哉は反射的に腕を回した。

その瞬間だ。鈴木直哉は、氷みたいに冷たい視線が自分に突き刺さるのを感じた。

顔を上げると、水原念が嘲りをたっぷり湛えた目でこちらを見ている。

鈴木直哉は彼女を見据えた。

「どういうことだ。なんで殴り合いになった?」

問いかけた相手は水原念だったが、神崎美月が先に口を挟む。

「全部、水原念のせいです。黒瀬初花って子と一緒になって、清子に『恥知らず』だのなんだのって。清子が持ってきた千年雪...

ログインして続きを読む